全国で実践されているプログラミング教育

1 小学校で行われている授業はどんなもの?

3種類のプログラミングのうち、圧倒的に多くの時間を割り当てているのは、アンプラグドプログラミングです。機器が必要なく、教科書による教科指導の中で机上においてできるからです。但し、従来通りの授業ではなく、プログラミング的思考力を育てる内容でなくてはなりません。例えば、算数科の計算問題などでは、だれもが何度でも正解できるように解き方の流れを簡潔に、そして明確にまとめる学習でなくてはなりません。

次に多く実践されているのは、ネットのサイトを活用したビジュアルプログラミングです。中でも、言語「ビスケット」と言語「スクラッチ」は、中心的な存在です。「ビスケット」は、キャラクターの絵を描くことから始まり、ステージに配置します。「めがね」と言われるプログラムツールのレンズに、事前の姿と事後の姿を配置して、キャラクターの動きを表現します。動きだけではなく姿や色の変化・音なども表現できます。絵を描いて「めがね」のレンズ部分に置くだけなので、主に低学年の学習に活用されているケースが多いです。

フィジカルプログラミングは、道具が必要となるので、地域の企業と結びついていたり、教育委員会が予算措置をして購入したりする必要があります。学校の単独予算だけではなかなか用意できないというのが現状のようです。ですから、実践例は多くはありません。

 

2 「スクラッチ」の授業はどんなもの?

全国の授業を見ると、大きく分けて3種類のスクラッチ活用例があります。

一つ目は、変数などの丸いブロックを穴に当てはめる形式のプログラミングです。代表的な例としては、国語科の授業で「ねこがねずみをおいかける」という文の「が」と「を」の丸ブロックを入れ替えることで、「ねこをねずみがおいかける」となり、ねことねずみの立場がかわった絵と動きになるというものです。助詞の使い方という国文法の例です。

二つ目は、スクラッチの定義ブロック(複雑なプログラムに名前を付けて1つの新しいブロックにしたもの)を用いた家庭科の例です。いくつかの定義ブロックを組み合わせたり、水の量や時間の数字を変えたりして、上手な炊飯をめざすものです。家庭科の調理実習として行われている炊飯とみそ汁づくりの事前授業として用いられています。

三つ目は、多角形の作図などで方々の文書に登場している例です。これは、1からプログラムを組み立てていくものです。