場面の様子をプログラミング

1 国語教育のプログラミング

国語という言語学習においても、プログラミングを用いた活動は全国で実践されています。それは、物語文などの読み取り学習で場面の様子をイメージしやすくするアニメーションの作成などです。

関東地方のある大学の附属小学校では、物語文『スイミー』の学習ということで、プログラミングを活用しています。『スイミー』は、皆さんご存じのように、小さな黒い魚が仲間の赤い魚たちと一緒に、持ち場を守って大きな魚に見えるように泳ぐことで、大きな魚を追い払うという物語です。

その読み取りの中で、子ども達は自分の好きな場面を選択し、スクラッチのようなブロックで作成する言語を駆使して、アニメで表現するというものです。

ブロックを組み合わせて、魚を移動させたり、大きな魚を移動させてから消すなどのプログラムを作り、発表交流をしました。このことにより、登場人物の心情や場面の様子の理解がすすみ、深い読み取りの学習を実現することができました。

2 プログラミングの効果

場面の出来事をアニメ的に表現できるので、教科書の2次元的な挿絵よりも現実的で視覚的に訴えることができました。また、『スイミー』という教材の特徴という点では、スイミーと赤い魚たちが位置関係を崩さず大きな1匹の魚に見せかけることが、プログラミングでキャラクターを動かす命令とマッチしていたところがあります。

キャラクター達を大きな魚の形に整列させて、その各々に左か右へ同時に同じ距離を同じ速さで進ませる命令をブロックで作成すればいいのです。

ちなみに、この『スイミー』という教材は、小学2年生で出てきます。低学年であっても、ビジュアルプログラミングは扱いやすいツールだと言えます。大人が想像するほど困ったり滞っている子どもは少なく、ほとんどなく、皆生き生きと活動していました。現代っ子ですね。

パソコンなどの機器を使い日本語の理解をするということは、一見して遠い関係性のように思われますが、こうして実践を見てみると大変有効だということが想像できます。むしろ、教科書という紙を使って机上で学習するしか手段のなかった教科が可能性を広げ、子ども達にやってみようという意欲を与えてくれたものと考えます。

深い読み取りの学習は、プログラミング教育の3つの目標のうちの1つです。全くもってすばらしい実践と言えるでしょう。