1 早期教育が自信を育てる
私が幼稚園のころ、九九を全部覚えさせられたんです。今思うとちょっとびっくりですが、当時は早期教育に力を入れている幼稚園に通っていたんですよ。だいぶ昔の話なので、当時としては珍しかったと思います。
普通の幼稚園って遊びが中心のイメージですが、私の通っていた幼稚園は勉強がメインでした。学習のレベルが1から5まであって、それぞれ能力に合わせてグループ分けされていたんです。私はレベル5のグループで、特に算数をしっかり学んでいました。
でも、上には上がいるもので、レベル5の上には「特別室」というグループがあって、結局卒園するまでその特別室の様子を知ることはできませんでした(笑)。今考えても「どれだけ勉強する幼稚園だったの!?」と驚きます。
この幼稚園での経験のおかげで、算数に対して自信がつき、小学校でも積極的に手を挙げて発表するようになりました。先生に褒められるとますます調子に乗って、「算数大好き!」と自称するようにまでなりましたね。
学校の授業も既に知っていることが多かったので、予習も順調に進んでどんどん力が伸びていきました。もちろん、入学当初のアドバンテージはだんだん薄れていきましたが、幼稚園で培った自信はしっかり残りました。
2 巷の塾では…
実は私も塾で教えた経験があり、早期教育を受けたお子さんの凄さを目の当たりにしたことがあります。
全国的に有名な塾に通っている生徒で、毎回大量のプリントを宿題としてこなし、常に100点を取ることで自信をつけていくという方針のところでした。その結果、まだ小学4年生なのに6年生レベルの計算方法まで理解していて、テストでも良い点数を取っていました。
でも、私が教えていた塾は進学校を目指す生徒向けで、計算だけではなく、古典算数のような少し特殊な文章問題に重点を置いていたんです。だから、計算が得意でも、文章問題に対してはなかなか歯が立たないこともありました。
せっかく早期教育を受けるなら、ただ解き方を覚えるだけじゃなくて、問題の本質や意味をしっかり理解することが大切だと思います。表面的な能力だけだと、応用がききません。問題の意味がわかれば、自然と式が立ち、そこから計算すれば答えにたどり着けますからね。
早期教育で自信をつけることは素晴らしいですが、その自信を活かして、子どもたちが本質的に学びを楽しめるようになってほしいと思います。