1 声の出し方
私は、大学生の時に初めて合唱というものを学びました。自分は音痴ではないと思っていましたが、明らかに音痴だと思えた後輩が見る見るうちに立派なソリストになっていって、歌は誰でもうまくなると思いましたね。
大学で学んだ声を出す練習は、おなか回りの筋肉を鍛えることから始まりました。腹筋そして背筋、側筋(横の筋肉)などを鍛えます。
次に姿勢です。両足を肩幅ほどに開き、その中心におもりがついているように下半身をしっかり立たせます。上半身は力を抜いて楽に立ちます。
ここからが大事です。歌は、体を楽器としたときの演奏です。ですから、リラックスした体の骨に音をぶつけて響かすのです。頬骨や額の骨、鼻の骨などです。
口の中は大きな空洞にしておく方が響くので、のどの奥の方まで上側に大きく開けます。これをやりすぎると吐くときの状態になりますから、「おぇー」とならない程度です。
筋肉バッチリのおなかに支えられた息を顔の骨にぶつけて少しずつ吐き出しいていくこと、これが歌うことです。
響きの素晴らしい例としては、犬の吠える声や赤ちゃんの泣き声などです。どちらも体から響かせている声だからです。
2 小学生の歌唱指導
小学生は、頭声発声と言って、頭のてっぺんの骨に響かせるようにして歌うよう指導することが一般的です。さっきの練習と同じく、上半身の力を抜き息をおなかで支えて頭に響かせて声を出します。
高音でつらくなる時にも、顎をあげて辛そうに歌うのではなく、むしろ背を低く沈ませて上から声が抜けていくイメージで出すようにアドバイスします。
イメージは大切です。何回もイメージして練習すれば、そのような声になっていくものです
後は、息の使い方の練習や音階の練習などをして、日々耳で聞く力を伸ばすことです。耳の聞く力が伸びれば歌唱もうまくなります。
合唱の場合は、うまい人は後で、新人は前の方に並びます。後ろから聞こえてくる声をしっかりと聴き、その声にかぶせて合わせていくようにします。
オーケストラのバイオリンの音のように、一人の音色は「ベロベロー」という音ですが、ストリングスになると「ヒューヒュー」というような澄んだ音色に変化します。
人間の声も、一人ではゴツゴツとした特徴のある声が混じっていても、みんなで心を一つにして重ね合わせると素晴らしいハーモニーが生まれます。ボリュームはいらないのです。重ね合わせることで、うねりを持った素晴らしい歌声に変化するでしょう。