ビスケットで水族館づくり

1 手仕事という学習

特別支援教育の学習には、普通学級の学習の他に、生活単元や自立など特有の学びがあります。子ども達が、一般社会に出て行って集団の中で仕事をし、人と関わって生きていくために必要な学習です。

例えば、お金を使って買い物ができる力とか柔軟体操やバランス運動などをして体を上手に動かすことができる力などを身につけます。

そんな特有の学びの中に、手仕事というのがあります。この手仕事は、小さな社会体験として、作業工程を分けて教師にチェックと励ましを受けながら、物品を完成させていくような学習です。例えば、編み物やちぎり絵などの作品を個人やグループで仕上げていくような学びです。

勿論、自立の学習の中で、お箸で豆粒をつかんで運ぶなどの手先を鍛え集中力をつけさせる学習もありますが、この手仕事も手先の動かし方の訓練になるものです。

この学習の大事な点は、手先以外にも責任を持って期日までに仕上げていく勤勉性や責任感などを養うことです。実際に社会に出て仕事に就いたとき、先輩などの指導やアドバイスを受けながら仕事を仕上げていくことができる力を身につけることは大切です。

2 プログラミング教育との関係

プログラミング教育では、ビジュアル言語が一番理解しやすいツールだと考えます。しかし、特別支援のお子さんにとって、いきなり難しいプログラムを組むことはハードルが高すぎることも間違いありません。子ども達は視覚的なものに敏感で、そこから学習していくと効果が期待できることも事実です。

そこで、特別支援では絵を描くことでプログラミングの学習的なことをすることも一つの方法ではないかと考えています。

絵を描くこと、そのものがプログラミングとなる言語「ビスケット」を活用した学習があります。例えば、「ある会社で、水族館のように魚が泳いでいるようなアニメを飾りたいといっています。皆さんは、この仕事に取り組んでみましょう。」と学習の概要を伝えます。

そして、次のような作業工程で水族館を完成させます。

  1. 魚を描く
  2. 魚を泳がせる
  3. 魚がぶつかって変化する

似たようなことは、言語「スクラッチ」でも可能です。例えば、「春夏秋冬のアニメを作って、歌や器楽演奏とともに発表することになりました。皆さんは、夏の花火・秋のトンボ・冬の雪だるまを描いてください。」と学習の概要を伝えます。

そして、その絵を使ってアニメで表現することができます。プログラムは指導者の方で用意をし、子ども達の絵が夜空に上がって拡大して消えたり、数匹クローン化した仲間で飛ばせたり、だるまの頭を据え変えたりすれば、十分鑑賞にたえる作品となります。

プログラミングは、難しいときめこんでしまうのではなく、特別支援の子ども達にも生き生きとした活動を用意してくれるものと考えます。