かけ算のプログラム化

1 かけ算の順番論争

「50円の鉛筆6本分の代金はいくらでしょうか。」という問題は、算数ではよく出てきます。そのとき、あなたは「50×6」としますか「6×50」としますか。小学校では、前者を正解として、後者は前者の式に直すようにと指導されることになります。これは果たして正解なのでしょうか。読者の皆さんはどう考えられますか?

小学校では、掛け算の式を「1つ分の数」×「いくつ分の数」という言葉の式で学ばせる形をとっています。ですから、1本あたり50円のものを6本分買うので、50円の6倍で300円とする立場をとります。

通常では式の最初の数の単位と答えの単位が揃っている、上の例では「円」となることが正しいとされるので、このような順の式となります。ある意味プログラム化された解き方の流れと言えます。

この考え方のもう1つ大切なところは、「1つ分の数」というものに重点を置き、その意味を大切にするべきであるということからきていると思われます。

2 保護者や一般の方の思い

お子さんの「6×50」の式に、ペケをもらった保護者の方はどううけとるでしょうか。

「交換法則」で、さかさまの式でも答えは同じ数値となることを知っている大人は、「どちらの式でもいいのでは」「✖はこくではないか」という意見をお持ちの方が少なくありません。

げんにオリンピックなどで、連日テレビで放映されているリレーなどの表記では、4×100mとなっています。これは、1人100mを走ったり泳いだりして4人一組でリレーをして争う競技ですよという意味です。

どこかの博士のように偉い方も、この点については倍数×1あたり数という表記が正しいとしている論文もあるようです。

この部分は、解決がつかずネット上でも論戦は日常的にあるようです。

こう教えなさいと赤刷りの指導書で学ばせ方を学んできた教師達は、なんの疑いもなく「1つ分の数」×「いくつ分の数」の式で指導し採点もしてきています。

私もかつてネット上で、この論戦に巻き込まれた当事者です。言われてみると、世の中的に逆の式になっている事例はたくさんあり、どちらでも正解ではないかというのが今の私の心境です。

しかし、1あたりの数の意味合いを理解し総数を出すということを考えたとき、数字の順序だけではなく数字の意味にこだわることは大切であるのは確かです。プログラム化して掛け算の場面の答えを導き出すことも意味はありますが・・・。