1 交通事故体験から伝える
子どもたちに安全教育をする機会は、春先にありますが、よくあるのは業者と一緒に道路に飛び出さないようにする実験や、自転車の乗り方練習といった内容です。でも、これだけでは「本当に危険だ」という切実さが伝わらない気がします。
やはり、実際に車に引かれた経験を持つ人が、傷跡を見せながらその体験を語ることが一番強い印象を与えると思います。
実は私、幼稚園の頃に交通事故に遭って、右足に大きな怪我を負いました。手術を3回受け、矯正靴を小学2年生まで履いていました。今でも、疲れると足を引きずることがあります。
その事故は、普段は車がほとんど通らない場所で起きました。友達と一緒に道路を横切りながら、小山を登ったり降りたりして遊んでいたんです。仲間たちは逃げられたのですが、私だけが車に引かれて、大きな怪我をしてしまいました。
2 どんなふうに伝えるか
「先生の足を見てごらん」
ここから、私の体験をもとに学びを始めます。大きな傷跡を見せながら、なぜ事故が起きたのかを子どもたちに伝えます。
私が油断してしまったポイントは、
・「ここは車があまり通らない」と過信していたこと
・友達と一緒に遊んで夢中になりすぎたこと
・焦ると人はうまく行動できないこと
・そもそも道路を横断するのは遊びとしては危険だということ
紙に書かれた注意を読んだり、架空の事故の再現を見せたりしても、現実感が湧きません。
だからこそ、本物の傷跡を見せて、どれだけ危険な行動だったのか、また、それがどれほど一生背負うことになるのかを、実際に体験した私が語ることで、子どもたちの心により強く響くと信じています。