1 お金を扱う学習
特別支援教育では、「生活単元」という授業があります。その内容は、子ども達が自立し生活していけるようにするために必要な知識や技能などを学びます。
そのような学習の中で大切なのは、買い物に関する学習です。お金に関する知識を理解し、支払いできる技能を身に着け、調理実習の一環として食材の買い物を実施します。
特にお金の支払い方は、昨今は現金だけではなく電子マネーやカードなど多岐にわたってきていますが、基本は現金でお釣りを少なく払うことです。
適切な硬貨を使い、価格ピッタリか少し多めに払うことができるスキルが必要です。そこで、学校でもプリント学習や模擬硬貨で支払い方を学ぶことがあります。
一見算数科の学習のようでもありますが、あくまで品物を買うための適切な金額を払うことができるという、社会で生きていくために必要なスキルを身に着けることに主眼があります。
この少し多めに払うというところが、子ども達にしてみるとやや難しいところなのかもしれません。
2 支払い練習のプログラミング
通常、紙面や模擬硬貨で学ぶお金の支払い方を現代ではパソコンを使って学ぶ実践がありました。
子ども達は、自宅でも学校でもタブレット等のパソコンのようにタッチして操作する機器に慣れ親しんでいるのが現状です。ですから、形として手に感触を感じることができる硬貨も大切なツールではありますが、何度も試行錯誤や払う操作をする練習に重点を置いた場合、プログラミングの活用は大変有効です。
画面には、大きな支払いトレイが配置されていて、様々な硬貨が用意されています。その硬貨を指で移動させてトレイに置くとスクラッチの「下の色を感知する」命令で、金額が加算され、トレイから外すと減額される仕組みとなっています。
支払いの金額が提示されて、適切な硬貨をトレイに移動させ、合計金額の表示も確認して、「支払いボタン」押します。すると、レジの効果音とともに、「ありがとうございます」や「おつりは〇円です。」などの吹き出しと合成音声が流れる仕組みを言語「スクラッチ」で組んでいました。
高学年では、トレイの合計金額表示を✖ボタンで非表示にして取り組むこともできます。
子ども達は、準備のテスト調査や学年・学びの段階に応じて、「ぴったりはらう」や「少しおつりをもらう」、さらには「細かくないおつりをもらう」などの目標で、支払う硬貨の種類と枚数を選択します。
全体での学習は大きな電子黒板で、練習は個々のタブレットで行います。子ども達の目標に合わせて硬貨の種類や枚数も個別対応できるようになっています。
スクラッチのプログラムで、このような時代にあった練習ができるところがすばらしいです。